第9章 アナログコンテンツからディジタルコンテンツへ

はじめに

 自然界に存在する風景や音は、いわゆるアナログの情報として、それぞれ目と耳に入ってきます。自然界にはもともとディジタル情報的なものは存在しないように思われます。

 ディジタル情報の世界への大きな加速は、紀元前4000〜3000年頃、チグリス・ユーフラテス両河に挟まれた肥沃なメソポタミア地方に絵文字から発達したシュメール文字(楔形文字)が登場したことで与えられました。

 情報伝達に関して、従来存在していた二つの制約、すなわち時間的制約と空間的制約を効果的に克服する手段として文字が人類社会に出現しましたが、このことの意義は計り知れず大きかったのです。

 文字は今日においてもディジタル情報の代表例としてあげることができるでしょう。
 文字の発明が遅れ、文字の広範な使用が仮に500年遅れたならば、私達人類の文明の発達もそれだけ遅れ、現21世紀は17、8世紀頃の状態であったと思われます。


標本化と量子化

 アナログ波形をディジタル信号に変換し、さらにこれを元通りアナログ波形に戻す模様を図1に示しましょう。

 図1に音声、音楽、画像などの入力情報(入力時間波形)が、ディジタル信号(0,1パルスの系列)に変換され、それが再び再生される模様を示します。

 具体例として図2に連続波形に対する標本化位置(0,1,2…,10)と量子化間隔を示しましょう。



図1


 標本化の間隔はどのように選ばれるでしょうか。それは次の標本化定理により与えられます。

 標本化定理:任意の連続情報はその信号の最高周波数(情報に含まれている純音の周波数の中で、1番高い周波数)がW Hzであれば1/(2W) 秒ごとの時間間隔で標本化されたパルス列(パルスの振幅値は連続値、すなわちアナログ)で完全に復元される。




 音声の場合は電話のように比較的低品質のサービスであっても量子化においては レベルの細かさが要求されます。CDのように高品質のサービスの場合には、少なくとも2048レベルもの細かさが厳しく要求されます。

 これに対し、画像情報においては量子化レベル数はそれほど厳しくは要求されません。例えばカラーTVの場合でも、64レベルぐらいで十分です。因みに私の目では32レベルで十分です。画家の目は厳しく64レベルは最低限必要でしょうね。

 振幅上でのノイズに対してはヒトの耳は非常に厳しく、ヒトの目は逆に比較的甘いのです。
 量子化ノイズに関する限り、耳は非常に厳しく、目は甘い。耳はできる限り正確に聞こうとし、目はいい加減に見る、こんな興味深い一面があるのかもしれませんね。



 問 次の質問に答えて下さい。
  1.  図2中に標本値を・印で、また量子化値を○印で示して下さい。なお、量子化においては標本値を最寄りの量子化レベルで表現して下さい。
  2.  再生された波形の形を示して下さい。
 本例が示すようにCD,DVD等においても元の波形が正確には再現されてはいないことに注意しましょう。テレビやスマートフォンなどからの映像、音楽などは元の波形とのずれが目や耳に認識されない程度に細かく量子化されているのです。
図2
図2 標本化 → 量子化の例




表1
時刻 量子化値 2元数*
0 -1 0011
1 0 1101
2 2 0101
3 3 1110
4 3 1110
5 2 0101
6 1 1010
7 0 1101
8 -1 0011
9 -1 0011
10 0 1101



 図1の量子化値に対応する2元数の一例を表1に示しましょう。表1に示した2元数は拡大体に基づくものです。 筆者は大学院生学生の時、拡大体の元をディジタル信号として用いる手法を提案し、考察しました。

2元数 ⇔ 拡大体の元


という符号化を提案したわけですが、これは世界的にも最も早い時期での提案だったと思います。



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